遠回りが切り絵上達への近道!?

 私の切り絵(きりえ)は自己流の所が多いのですが、初めての時は色々と試行錯誤しながらも、サークルなどでベテランの先生や会員の方からきりえの基本や材料の揃え方、美術展への出展の仕方など色々と教えて頂きました。

 教えて頂く機会や出展させて頂く機会を頂いたことで(出展する度、恥をかいたり失敗を嘆いたりしました)、今につながっているのかな?と、改めて今そのような貴重な機会を与えて下さったことをありがたく思います。

 私の場合は全くの独学でもって…というのはどうしても煮詰まってしまい、機会がないと描き続けることは難しいのではないかな?と思います。

 私が所属している日本きりえ協会は、40年以上の歴史があり、著名な切り絵作家さんも所属していた団体でございますが、その最大の魅力は毎年日本きりえ美術展の開催があり、初心者の方でも上手い下手に関わらず、創作ならば審査で落とされることなくどなたでも出展できる所だと思います。

 また、きりえサークルや日本きりえ協会、SNSなどを通じ、グループ展にも参加させて頂く機会もいただきました。

 そのような貴重な機会を提供してくださる協会やサークル、展示会の運営に携わる方のご尽力は大変なことだと思われ、改めて今とても感謝しております。

  このような展示会出展の機会を一つの自分の実績として、キャリアとして捉えて、さらに自身の上達の道を考えるのもいいのですが、何か開催や準備のお手伝いをすることにより、「場」を提供してくださる方々と少しでも準備の苦労や開催の喜びを共有すること、それがたとえ遠回りでも自分の絵を磨く近道なのかな?と思います。

 私の切り絵歴はまだ7年ぐらいで、飽く迄も「アマチュア」の域なのですが、アマチュアだからこそ、描き続け、さらにもっといい絵を描こうというモチベーションを保ち続けるのも結構苦労しております。

 モチベーションを保ち続けるのには、あまり作品でもってお金を稼ごうと思ったり、ウケのいい作品を作ったりしようと意気込んで考えず、ただ「自分のこだわり、自分の世界を表現したいんだ!」という気持ちに忠実であり、「ほんの2、3人の方にちょっとした感動を与えられれば十分にラッキーかな?」ぐらいの気持ちで臨んでおります。

 オーダーや納期といった、絵を生業とされているプロの方からしたら全く及ばないレベルではございますが、「それでも俺はこういう絵を描きたいんだ!」と時間をかなり注ぎ込んでも、こだわりは大事にしております。

 また、絵を上達させたいのだと、あまりにもそればかり考えるとどうしても視野が狭くなってしまいますので、ほかの色々な趣味や人との集いを大切にしたり、運動したり旬の料理をつくるなど生活を大切にしたり、新聞の切り抜きをして関心事を広げたり、もう一度山川の教書を広げて日本や世界の歴史の勉強をし直したりなどして、息抜きをしたり、いろんな方面に柔軟であるよう心掛けております。

下絵8割!

現在は来年3月開催の日本きりえ美術展に出展するきりえの下絵を描いております。

いつも人物から入ります。

それと並行して、来年2月に日本橋のギャラリーで開催のグループ展に出展するきりえの下絵も、これまた人物から描いております。

いつも空想の物語を絵にしておりますが、釣りとか編み物とかあまりやったことがないことや慣れない服装など絵に描くのは結構大変です。

また、人物と背景を構図的に無理なく絵に収めるというのも、これも結構苦労しております。

強調したい人物の背後がゴチャゴチャしていると、切り絵だと特に髪型とか人物の輪郭が分からなくなってしまいますので、大抵はアイレベルを下に持っていって描くようにしております。

構図、大体のアタリが掴めたら、そろそろ一休みして、これから年賀状の絵の構想を練りたいと思います。

切り絵というのは、細かい作業で、手先が器用な人が向いていると思われがちですが、さほど細かくない私のきりえは、切る作業は工作のようなもので、多少の根気と意欲があれば初心者の方でも気軽にできるかと思われます。

その何倍も作品の構想と下絵に労力を費やしております。

「構想、下絵 」: 「切る、貼る 」の比率は、

自分の場合は8:2 ぐらいかな?と思います。

切り絵の作り方は結構色々なサイトで見られますので、次回は下絵の作り方を自分なりにご紹介できたらと思います。

絵の上手い下手に関わらず、自分だけのオリジナルの世界を創作して人に観ていただくこと、自分の世界を表象すること、切り絵に関わらず、それが創作の魅力だと思います。

色和紙

私の切り絵(きりえ)は普段は和紙を使っております。

クリアファイルにまとめた色和紙

和紙だと大きい作品には向いていて、台紙(2㎜厚ぐらいのケント紙などのイラストボード)に糊付けする時、水で溶いた糊と刷毛でたるみや凹凸なく綺麗に貼れます。

多少の皺も糊で補修できるのも和紙のいいところです。

また色和紙には板締めや典具帖などいろんな種類があり、ぼかしを空の色や地面、水面の色などにうまく活用できます。

千代紙や色和紙を扱っている和紙屋さんは少なくなっておりますが、私の住んでいる埼玉県では3店舗ほど行きつけがあり、買う時には結構買いだめします。

まだ素人の身のためかどうしても色数を多く使ってしまうので、沢山の色和紙が余り、端切れを再利用しながら進めております。

ただ、どうしても綺麗にまとめないと散乱してしまい、どの色があって足りないのか訳が分からなくなってしまいます。

今日は沢山の端切れを大まかな色ごとにクリアファイルにまとめておりました。

これまで何種類の色を使ったのだか、結構気が遠くなる作業です。

どうしても作業に終われると、道具の使い方もしっちゃかめっちゃかになってしまいがちですが、ものは大事に使っていこうと思います。

作品の題材探し(近所の用水路)

現在制作に取り掛かっている作品の題名は「近所の用水路にて」といった題名にしようかな?と思っております。

「ホソ」と言われる田園を流れる細い用水路、タナゴや鮒が釣れる「ホソ」の風景を求め、わざわざ電車とバスを乗り継いで、比企郡川島町の鳥羽井付近まで行ったのですが、一昔前はこんな風景はどこの町でも普通にあったと思います。

私が育った田舎でも通学路にこんな小さな川があり、寒い日の冬の朝は霧が立ち上っており、ちょっと幻想的な印象でした。

田舎の知らない土地を訪れても、大体は住宅があるところには人の暮らしの匂いがあり、人がいて、小川や池、お城の堀の周りなどでは釣りをする人たちをよく見かけました。

うっかり落ちないように安全を考えてフェンスを立てるのも大事ですが、周りの風景との調和を考えず、味気ないコンクリートとフェンスで囲われた用水路はちょっと味気ない気がします。

最近はこういった何気ない素朴な風景のあった所に訪れても、以前と比べあまり人気を感じなくなり、ちょっと寂しいものを感じます。

うちの近所にこのような用水路はないのですが、もしこういった素朴な風景が、人の暮らしの匂いが感じられる空間が、何処の近所にも再生されるようになったら、人の心に麗しく、環境に優しいコミュニティ再生につながるような気がします。

一昔をちょっと懐古して、ちょっと土臭い空間のものがたりを、日本きりえ美術展に向けて描き上げたいと思います。

作品づくり(日本きりえ展に向けて)

来年開催の日本きりえ展に向けて、下絵作りを始めました。

私はいつもまずは人物から、顔から入ります。(表情も体のポーズも私のようなアマチュアにはまだまだ難しい)

今年はウィルス感染の影響で、作品を出展させていただく機会が減りまして、製作意欲も下降気味だったのですが、久々の貴重な展示の機会。

大作を手掛けるのは5ヶ月ぶりで、感覚もなまってしまっておりました。

搬入までがあと2か月。気を引き締めて取りかかっていこうと思います。

毎回、構想、自分の物語を練ってそれに見合った風景のあるところを訪れ、さらにそこから構想を具体的にしていきます。

写真は地元埼玉県の比企郡川島町の鳥羽井という所の(ホソ)と呼ばれる用水路です。

夏場にはここで釣りをする人もいるかと思います。

以前夏に訪れた説きは、近くの水田に大きな鯉が泳いでました。

スケッチはまだ慣れていないので、カメラに頼ってますが…

何となく心に焼き付いている懐かしい風景、温かな光景…そういったもの、心象風景のようなものをきりえにしております。

本の少しの人でもいいので、何か懐かしさ、温かさを届けられたら、小さな感動を与えられたら…そういう思いで描いております。

初めてでも楽しい切り絵

切り絵は絵を描くことや工作に自信がない方でもカッターがあれば気軽に楽しむことができます。

色紙を切りながら形になっていく楽しさ、できた時の喜びは自信になり、創作することの楽しさにつながっていくことと思います。

デザインカッター(普通のカッターでもよいです)、カッターマット、色紙(ラシャ紙など)…まずはこれだけあれば気軽に始められるかと思います。

DSC_0129.JPG

初心者の方は、まずは初心者向けの切り絵の型絵集といった本などに掲載されている型絵から切ってみるといいかと思います。

色々な切り絵の入門書がありますが、私も近々、ここのサイトを通じて、私なりの切り絵の作り方、楽しみ方をできるだけ分かりやすくお伝えできればと思っております。

DSC_0338
DSC_0286
DSC_0368
DSC_0127.JPG

是非少しでも多くの方に自分スタイルの切り絵の楽しさをお伝えできれば、また既に始められている方、切り絵愛好家、切り絵以外の作品づくりを楽しんでいる方とも、創造の喜びを共有したり、逆にこちらが学ばせて頂いたりできればと思います。

今後の予定

やむを得ないことですが、本年は私も過去何回か出品させて頂いているきりえ展のグループ展、企画展 …(3月末のさいたまきりえ展、5月の東京きりえ展など)の開催が会場のコロナウィルス感染対策のため中止になってしまいまして、出展させて頂ける機会がやむなく中止となってしまいました。

毎年11月に上野の東京都美術館で開催の全国規模のきりえの祭典、日本きりえ美術展ですが、私は6年前より毎年2点ほど出展させて頂いておりまして、今年は第43回展として開催する方向でしたが、会期と会場が変更になり、来年2021年の3月に別の会場で行われる方向の様でございます。

開催の機会がないと、どなたかに見て頂ける機会、追い込まれる機会がないと、どうも自分はあまり駄目なようで、作品作りや構想作りが足踏みしてしまっている感じです。

今一度どんなテーマ、自分の追求したい世界を再確認しながら少しずつ進めていこうと思い、描きたい世界をちょっと広げ、発信の仕方もこの機会考え直していきたいと思います。

今年末、12月3日より来年の11月までの長期間、機会を頂きまして、台湾での台日切り絵交流展に自分の拙作も出展させて頂く予定です。

また出展させて頂ける機会が具体的に分かりましたらお知らせいたします。

草餅

仕事帰り、スーパーで草餅(蓬餅)を買いました。

草餅というものは昔の人にはふるさとの母を連想させるものだったようです。

  故郷や母がいまさば蓬餅 正岡子規

  草餅の濃きも淡きも母つくる  山口青邨

  粘り強し母のこねたる草餅は  品川鈴子

  草餅よ老いたる程に母恋し  米田双葉子

  たてまつる八十路の母に蓬餅  及川正

河原や畦道にも蓬が垣間見られる暖かい季節となりました。