現在制作に取り掛かっている作品の題名は「近所の用水路にて」といった題名にしようかな?と思っております。

「ホソ」と言われる田園を流れる細い用水路、タナゴや鮒が釣れる「ホソ」の風景を求め、わざわざ電車とバスを乗り継いで、比企郡川島町の鳥羽井付近まで行ったのですが、一昔前はこんな風景はどこの町でも普通にあったと思います。
私が育った田舎でも通学路にこんな小さな川があり、寒い日の冬の朝は霧が立ち上っており、ちょっと幻想的な印象でした。
田舎の知らない土地を訪れても、大体は住宅があるところには人の暮らしの匂いがあり、人がいて、小川や池、お城の堀の周りなどでは釣りをする人たちをよく見かけました。
うっかり落ちないように安全を考えてフェンスを立てるのも大事ですが、周りの風景との調和を考えず、味気ないコンクリートとフェンスで囲われた用水路はちょっと味気ない気がします。
最近はこういった何気ない素朴な風景のあった所に訪れても、以前と比べあまり人気を感じなくなり、ちょっと寂しいものを感じます。
うちの近所にこのような用水路はないのですが、もしこういった素朴な風景が、人の暮らしの匂いが感じられる空間が、何処の近所にも再生されるようになったら、人の心に麗しく、環境に優しいコミュニティ再生につながるような気がします。
一昔をちょっと懐古して、ちょっと土臭い空間のものがたりを、日本きりえ美術展に向けて描き上げたいと思います。